挨拶

音楽指導を始めて50年が経ちました。松井音楽教室を開設して45年。
毎週70人前後の生徒が通っています。
私は町のピアノ教室で在りたい思いで指導してきました。何か音楽に関することで困ったことがあれば、かかりつけの医者のごとく、「松井音楽教室に行けば何とかなる!」そんな教室でありたいと思っています。
  教室ではピアノ・声楽・リトミック・音楽大学や保育科・教員免許取得の音楽に関することの指導をしています。
 
◎ 音楽を楽しんでほしい

  教室に入会を希望されたとき「情操教育として音楽を楽しめる子に育ってほしい」と言われます。
音符をなぞって弾くだけでは音楽を楽しめません。「ピアノを習うことが脳トレに良い」教育者の
中には習い事に最適なのは「ピアノ」と言われる方もいます。私も同意見です。
楽譜を見て指でキーをなぞるのが「脳トレ」ではありません。指先で出される音の音色を用意し、フレーズをどのように弾きたいか、その曲を作った作曲家の背景も理解し、どう演奏するかを瞬時で感じながら弾き進めるから「脳トレ」になると思います。
 
◎ピアノ教室はそれぞれの個性を持つことが大事

  「生徒が教室に来る、教える、教え終わったらさようなら」ではなく、教室が方針を持ち、それを生徒が実行できるように誘導することが大切です。例えば、松井音楽教室では、音読み、リズム打ち、楽典の学習は全生徒がやります。レッスンを休んだらきちんと振替えて継続的にレッスン数を確保します。生徒が練習できていない時は、レッスン中に、次のレッスンで弾けるようになるための練習をします。これらのことは、私の教室の方針として守っています。

◎ 生徒の生活環境の違いを理解する

生徒はみな生活環境も育ち方も異なります。加えて、考え方や行動の仕方には、親との接し方も影響します。第1子、第2子、第3子か、男兄弟か、女兄弟か、お兄さんがいるか、お姉さんがいるか、弟がいるか、妹がいるか、お爺さんお婆さんと同居あるいは近くにいるか‥。ほかにも、親が会社員か自営業か、共働きか専業主婦(夫)か、お母さんの性格がおっとりされているか引っ張っていくタイプか、生徒自身の1人遊びが、本読みなのか、テレビゲームなのか、外遊びや運動なのか、習い事はどんな時間サイクルで行われているか等、たくさんのことが関わってきます。
「この子はすることが遅くて」と言われるお母さんの中には、お母さん自身がさっさと生徒を手伝ってしまわれる方が多くおられます。教室に一緒におられ、生徒がワークブックをする際に、間違いを自分で消しゴムで消してしまわれる方はこのタイプです。こちらは、生徒が何を間違うか見たいので、手を出さないようにお願いしています。
また、ワークをする生徒に「さっさとしなさい。」と声かけするタイプの方には「何時に教室出ないといけませんか?じっくり取り組ませたいので。」と言ってこちらの立場をアピールしつつ、生徒に課す問題の量を減らします。

◎ 家での練習

家での練習は、生活習慣を身につける一貫として位置付けていただきたいので、「自宅練習の時間を食事前や後などと決めて、その時間に練習していなかったら『今、ピアノ弾く時間じゃない?』と声がけをしていただきたい」と伝えます。何から何まで親が子供の時間を管理するのでなく、習慣にしてしまえば、子供自身が、徐々に、どう取り組めば宿題ができるようになるか考え始めます。私もどれだけ練習時間を持てるのかで宿題の出し方を変えています。時間があるのに練習しない生徒には「じゃ、7時に電話するからそれまでに練習終わっておいて~」と約束をします。そして本当に毎日電話をかけます。始めは「今からする!」と言っていたのが「もうしたよ」になり、こちらが「自分でできそうね」となるまで継続します。この電話を2週間程続けると、自宅練習の習慣が身についてきます。習い事が多くて練習時間が取れない生徒には、教室でレッスン時に一緒に練習して、「これだけの時間弾いたら、もう弾けるようになったね。」と声かけし、少しの時間でも頑張れば弾けるようになることを体感させます。そして「あとは、この4小節がスムーズに弾けると合格にするね。」と言って宿題にします。

◎ 教材選定

教室では、始めは、教則本と曲の本2冊ですが、すぐにハノン系、ツェルニー系エチュードの本を増やし、さらに、時期を見てバロックの本を渡します。生徒一人一人を見て本を決めるので生徒それぞれ本が違います。少し練習すれば合格できる本、1曲を分けて練習すれば弾ける本、じっくり取り組ませる本等、生徒の性格に合わせて本を選びます。
先ほど家庭環境による影響があるという話をしましたが、第1子は全般的に期待が大きいです。祖父母が混じると、お母さんもプレッシャーを感じられているケースも多いです。そのため、「出来て当たり前」という雰囲気ができてしまっており、間違えることを怖がる生徒がいます。このような生徒の態度には、それに対するお母さんの対応も影響してきます。間違えたくないせいか、生徒の中には「やりたくないのにやらされている」「親のためにやってあげている」といった態度を取る生徒もいます。そんな生徒には「お母さんはあなたが素敵にピアノが弾けたらあなた自身が楽しいだろうなぁって思って、それでピアノを習わせてくれてはるんだよ。」と伝えます。お母さんには、物事を習得する際、ピアノに限らず、感謝の気持ちがないと身につくものも身に付かない、と伝えます。

そして、第1子は自分の周りにお手本になる人がいないから全て初めての体験です。躊躇したり臆病になったりするのも自然なことなので、それをいかに「大丈夫」と思わせるかが大事であるということも伝えます。第2子以降は上の子を見ているのですから、何をすれば親に叱られるか褒められるかも察知していますし、ピアノにしても、名曲でなくてもピアノの音が普段から耳に入ってきていますから、導入しやすくなります。親にはその違いを理解してほしいと伝えます。

以前、ムジカノーバ2007年12月号に「後悔しない教本選び 親子のタイプ別」、2008年1月号に「後悔しない教本選び 理系文系別」を執筆しました。理系脳と文系脳では練習に対する姿勢が違います。どちらかと言うとこつこつ繰り返し練習する文系、感覚的に理解して弾く理系。お母さんが文系脳で子供が理系脳だと、お母さんが、弾けたら練習をやめる我が子が理解できず、「何故もっと練習しないの。」となります。子供が今回はこれだけできれば良いと思っているのに対して「練習しなさい」の言葉かけは虚しいので、「ここ、もっと歌って弾ける?」等、次の課題的声かけをすれば良いのです。それは学校の勉強にもつながります。

お母さん方には、お母さんの枠にはめてしまうのでなく、決まり事は話し合って決める、譲れない決まり事は守らないといけないことを伝え、あとは生徒の自由にさせてほしいとお願いしています。そうでないと、親より優れた人間にはならないからです。ピアノを弾けるようになるチャンスを与えてくださっているのだから、こちらも色々な曲が弾けるよう指導しますので、サポートをお願いしております。

松井音楽教室に生徒が長く通って来る、通って来られるのは、教室の教育として初見に力を入れているからだと思います。読譜力を伸ばせば、練習しやすくなり、高学年になったときに、忙しくて練習できていなくても、教室で楽譜を見てすぐに弾けるようになります。



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